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【報道特集】ギャンブル依存症で息子が失踪 母親が後悔胸に支援活動

報道特集です。パチンコや公営競技などに日常生活に支障をきたすほどのめり込み自分の意志だけではコントロールできなくなる「ギャンブル依存症」が社会問題となっています。患者は年々増加傾向にあることから国や栃木県は対策に乗り出していて、14日から20日まではギャンブル依存症問題の啓発週間に定められています。

こうした中、県内では患者や家族らが自分たちの経験を共有して支援につなげようという活動が行われています。この活動に取り組む母親を取材しました。

「とにかく優しくて、母の日や誕生日には必ずプレゼントをくれた。私にとって自慢の息子だった」

栃木県野木町に住む大橋智子さん。31歳の長男は今連絡が取れなくなっていて、どこで何をしているのか分かりません。

大橋さんの息子は競輪や、日本では違法のオンラインカジノにのめり込み、家族へお金の無心を繰り返したり、複数の消費者金融から借金したりするのに加えて、交際相手のお金に手を付けることもありました。家族が立て替えた金額は総額で500万円にものぼります。

大橋さんは当時、息子から「生活費が足りない」「友人にだまされた」と説明されていて、ギャンブル依存症に陥っているとは気づきませんでした。

息子は、違法な貸金業者いわゆる「闇金」にも手を出し、借入先は30社以上。大橋さんと夫の携帯電話や勤務先にも闇金からの電話が鳴り止まず、そうした状況がおよそ3カ月間続きました。

「初めて死にたいと思った。何とかしようとすると息子の症状は悪化するし、どうにもならなくて。周りの人には謝罪や説明しに行って恥ずかしいやらなんやら。いろいろな人に迷惑をかけてしまった」

息子はその後、山梨県の依存症回復支援施設に入り、回復プログラムを受けていましたが1年8カ月で失踪しました。

大金が失われ、家族にも深刻な影響を及ぼすギャンブル依存症。「依存症対策全国センター」の調査では、過去1年間にギャンブル依存が疑われる人の割合は1・7%から2・2%で、全国におよそ140万人から190万人いると推計されています。また、県内では健康福祉センターと県精神保健福祉センターに寄せられた相談件数が数年前には100件に満たなかったのが、2024年度には326件まで増えていて、年々増加傾向にあります。

ギャンブル依存症の当事者に話を聞くことができました。
タカヒロさん(仮名)(27)は友人や消費者金融からの借金を繰り返し、両親に立て替えてもらった総額は600万円にのぼりました

(タカヒロさん(仮名))
「ギャンブルを始めて数十分で1万円が増えて、こんなに簡単にお金が増えるんだと思い、ハマっていった。ギャンブルをしないとその日決意しても次の日にはやってしまう、ギャンブルでどうにかするという考えに陥ってしまっていた」

県内には専門に診る医療機関が2カ所あります。そのうちの一つ、鹿沼市にある鹿沼病院の駒橋徹院長は「依存症は脳の病気。『報酬系』というドーパミンが出る神経系が異常を起こしてしまうことでなる。単なる気の持ちようではないということが分かってきている」と説明します。

ギャンブル依存症に薬はありませんが、同じ境遇の人が集まり、互いの経験を話し合うことが有効だとされています。4月19日、宇都宮市雀宮生涯学習センターにおよそ60人が集まりました。当事者や家族が自らの経験を共有し依存症への理解を深めることを目的に毎月1回開かれていて、大橋さんはこの会の運営に携わっています。

この日、義理の息子にギャンブル依存の疑いがあるとして初めて参加した人もいました。

(大橋さん)
「娘や義理の息子から頼まれてもお金をかしてはいけない」

借金を立て替えてあげること、家族が面倒をみてあげることは根本的な解決にならない。大橋さん自身が苦しみの中で気づき、同じ境遇の人たちとの出会いから学んだことでした。

大橋さんは、今も『もっと早く息子の病に気づいてあげられたのでは』『対応を間違えてしまったのでは』という後悔を抱え続けています。こうした経験を包み隠さず話し情報を発信し続けることが、同じように苦しむ人たちの問題の解決につながると考えています。

(大橋さん)
「県内にも悩んでいる人がたくさんいると思う。私のような思いをしてほしくない。家族だけで解決はできないので、頼ってきてほしい」



▽ギャンブル依存症は「自分の意志の弱さ」と捉えられ、これが偏見につながる傾向が根強いこと、また当事者が「自分は依存症ではない」「自力で治せる」と思い受診につながらないケースが多いといいます。鹿沼病院の駒橋院長は「ギャンブル依存症は『脳の病気』」だとして、早めの相談や受診を呼びかけています。

▽そして、ギャンブル依存に苦しむ当事者やその家族などによるセミナーが5月24日、県総合文化センターで開かれます。申し込みは不要で参加費は無料です。当事者や家族が体験談を語るほか、依存症専門医療機関の県立岡本台病院の心理士による講演も行われます。大橋さんも「1人で悩まず、話を聞きに来てもらえれば」と参加を呼びかけています。

▽県もインターネットなどの過剰な利用やギャンブルなどにのめりこむリスクについての啓発動画を公開しています。県の公式YouTubeチャンネル「15Tube」で見ることができます。
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