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【報道特集】不足する歯科衛生士 問題の背景に何が… 人材確保のための取り組み

歯と口の病気の予防や歯科診療のサポートをする歯科衛生士。

宇都宮市にある済生会宇都宮病院では、口腔ケアに特化した歯科を2017年に開設しました。

歯科医師と歯科衛生士が連携し、手術や化学療法などを受けた患者の口腔ケアにあたります。

済生会宇都宮病院口腔ケア 根岸初枝歯科衛生士
「口と体はつながっているので、きれいにしておかないと体のほうも回復しない。ますます歯科衛生士のニーズは高まっていく」

口の健康が全身の健康に密接に関わっていることが広く知られてきた中で、口腔ケアへの関心はますます高まっています。

しかし、その口の健康を支える歯科衛生士が全国的に不足しているということです。

全国歯科衛生士教育協議会の調査によりますと、新卒歯科衛生士1人に対して何人の求人があるかを示す求人倍率は、2023年では23.3倍で高止まりが続いています。

また一度職を離れた人が復帰しにくい状況も課題になっています。

宇都宮市歯科医師会 北條茂男会長
「何年か働いたうちに離職する。歯科衛生士の免許を持っていても就業している人は少ない」

女性が99パーセント以上を占める歯科衛生士は出産や育児などで職を離れるケースが多く、2022年のデータでは免許を持っている人の半数以上が、歯科衛生士として働いていない現状があります。

宇都宮市歯科医師会の北條茂男会長によりますと、ブランクによる技術的な不安や勤務時間の調整の難しさなどが、歯科衛生士として復帰しにくい要因になっているということです。

宇都宮市歯科医師会 北條茂男会長
「歯科衛生士増やすにはどうしたらいいか、魅力知ってもらうにはどうしたらいいか、今までにない発想でこれからの歯科衛生士像を作っていく」

歯科衛生士への復帰を支援しようと、宇都宮市歯科医師会では、2019年から無料の職業紹介所を設立しました。

職を求める人に対して面談を行い、それぞれの希望に沿った診療所を紹介していて、これまでに紹介所を通しておよそ60人が、職場への復帰を果たしました。

次の世代を担う人材の育成も重要です。

宇都宮市にある宇都宮歯科衛生士専門学校。学生たちは、授業や実習を通して歯科衛生士に必要な知識と技術を身に付けます。

例年100パーセントに近い国家試験の合格率を維持していて、学生の多くが県内の診療所に就職するため、人材の確保になくてはならない存在です。

学生
「設備が整っていて、先生方も経験豊富なのですごく心強い」「この環境こそが歯科衛生士を目指すために必要不可欠」

そしてこの春、3年間の課程を終えた卒業生45人が、歯科衛生士としての一歩を踏み出しました。

卒業生
「上らないといけない壁がたくさんあり、みんなで乗り越えられたので達成感でいっぱい」

学校初の男性卒業生
「全国的に見ると男性の歯科衛生士まだまだ少ない。男性も歯科衛生士増やせたら」

全身の健康を口の健康から支える歯科衛生士。質の高い歯科医療現場の維持に向けて奮闘が続いています。
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