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【特集】G7大臣会合から2年 男女共同参画と女性活躍推進の栃木の今

日光市のホテルを会場に国内で初めて開催されたG7男女共同参画・女性活躍担当大臣会合から24日で2年を迎えました。男女間の賃金格差の問題や様々な場面での無意識の差別「アンコンシャス・バイアス」によって、女性だけではなく若者の地方離れが進行すると言われる中関係者の話を聞きました。

おととし6月、日光市で開かれた先進7か国、G7の男女共同参画・女性活躍担当大臣会合。G7の閣僚と欧州連合・EUやジェンダー平等アドバイザリー評議会の代表などがザ・リッツ・カールトン日光に集まって意見交換を行い、男女間の賃金差など経済面での格差の解消を目指す『日光声明』が採択されました。

議長を務めた小倉将信大臣(当時)
「女性の経済的自立について、その実現を阻む構造的な障壁として『役員や管理職に占める割合の低さ』や『就業分野の偏り』『無償のケア・家事労働の不平等な分配』『女性が不利に扱われる評価や賃金制度』『ジェンダーに基づく固定概念』『偏見』などを指摘をしている」

G7大臣会合が開催された当時からの担当者、栃木県人権男女共同参画課の田口奈保美さんはこう話します。
「県では日光声明を受け、男女共同参画と女性活躍推進の機運の高まりなどもあり、様々な取り組みをしてきました。去年実施した県政世論調査の『社会全体の男女平等の意識』に関する設問で『平等になっている』という回答の割合が上昇しました」

県ではこれまで、理工系の分野で働く女性のキャリアビジョンを応援する事業や男性と女性の家事分担を促進する「とも家事」の展開、中高生に男女共同参画やジェンダーを考えてもらう未来会議の開催などさまざまな取り組みを進めてきました。

さらに今年度は、県が初めて設けた「女性活躍推進フェロー」のポストに宇都宮大学の元副学長で現在は名誉教授の藤井佐知子さんが就任。

藤井さんはG7会合の翌年の去年4月、女性の地位向上の活動を支援する一般社団法人「glowing」を設立し、女性であるがゆえの生きづらさや困難を抱える女性たちをサポートする事業などを行っています。

この日は知事など県の幹部を集めた特別講座が開かれました。

県女性活躍推進フェロー・藤井佐知子さん
「栃木県はこれからとにかく頑張っていかなければいけない。置かれている状況をしっかり把握することからスタートする必要があるということで、まずは日本の状況、なぜ今、男女間賃金格差に焦点が当たってきているのかの話をしました」
「これまでの女性活躍は管理職を増やす、あるいは労働進出ということで捉えられてきたがそれは欧米では既に進んでいる。今は職場の中にある『構造的な不平等』をどうするか。それが賃金に直結する。例えば配置や配属、昇進や研修の機会などの部分。賃金格差は(女性活躍や男女共同参画の)メルクマール(指標)になる」

そして、行政などの役割についてもこう述べました

県女性活躍推進フェロー・藤井佐知子さん
「いろいろなレベルがあるにせよ差別に気づき、広く言うと『人権』を意識したセンシティブな県政を進めていくことが必要。これまでの『オールド・ボーイズ・ネットワーク(組織の多数派である男性男性によって作られてきた古い価値観や慣習)』ではなく多くの人の声を拾い、ジェンダーという視点を入れることで見えてくるものがたくさんあるのではないか。」

先月開かれた市町村長会議の席で、福田知事は少子化の問題や女性活躍の取り組みで日本が遅れを取っていることについて「ジェンダーギャップの問題をないがしろにしてきた結果、今の状態になっている」と述べて「施策を進める際、女性の力をどう引き出すか、市や町も取り組んで欲しい。そうでないと若い女性が栃木に戻って地域で活躍したいと思ってもらえない」と出席者に呼びかけました。

福田富一知事
「藤井フェローの話を聞いて全部納得しちゃったんです。行政が率先垂範をすることで、企業でももっと女性が活躍できる場面が増える可能性が高いと思うので、我々の視点を今まで以上に女性活躍を柱に据えて取り組む必要があると提案しました」

今月13日に県が開いた働き方改革を進めるためのセミナー。国の審議委員などを務める株式会社ワーク・ライフバランスの小室淑恵さんが講師を務め、会場は満席。男性の姿も多く見られました。

県人権男女共同参画課・田口奈保美さん
「平等感は高まっていますが、実情として賃金など男女間の格差がある。今年度は特に職場における女性活躍をさらに進める必要があるということで、まずは女性自身が働くうえで仕事と家庭の両立への不安などに対応するオンラインの相談窓口を新たに設置します。国も地方創生2.0の基本構想を策定していますが、その中でも女性や若者に選ばれる地方がテーマになっていて、固定的な古い思い込みを解消していく必要があるとされています。アンコンシャスバイアスの解消に向け、社会全体の意識を変えていくというところに取り組んでいきたいと考えています。」
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