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芳賀町出身「森のハープ弾き」阿久津瞳さん 優しい音色に込めた思い

牡丹の花に囲まれてハープを演奏するのは、芳賀町出身のハープ奏者、阿久津瞳さん、37歳です。この日、日光市の道の駅で牡丹の展示会が開かれるなか、優しい音色を響かせました。

阿久津さんが演奏するのは、アイルランドの伝統楽器「アイリッシュハープ」です。阿久津さんがハープに出会ったのは22歳の時。アニメ映画で聴いたハープの音色に感銘を受けたことがきっかけでした。今では宇都宮市と、自宅のある大田原市に教室を構え、年に20回ほどコンサートを行っています。そんな阿久津さんは、意外な経歴の持ち主です。

(阿久津さん)
「宇都宮大学農学部の森林科学科で森林のあらゆる側面を学んだ」

幼い頃から森林に興味があったという阿久津さん。実は、この自然への興味こそが阿久津さんがハープを奏でる原点だといいます。

阿久津さんは大学卒業後、那須町の宿泊施設で自然ガイドとして働き始めます。自分にしかできないガイドの形を見つけようと、森で演奏しながら案内する「森のハープ弾き」を思いついたのです。そこで阿久津さんは、すぐにアイリッシュハープの本場、アイルランドに渡り、1年間技術を磨きました。

阿久津さんのハープには、あるこだわりがあります。

(阿久津さん)
「日本の杉やヒノキで作られたハープの音色を聴いて森林に興味を持つきっかけになってほしい」

国産材へのこだわりには、大学時代に学んだ知識が活きています。

(阿久津さん)
「人が手入れした森は人が手入れし続けなければ豊かな環境を保てない。人も生態系の一部として活躍することで綺麗な森が保たれる」

林野庁によりますと、日本の木材自給率は、2024年で42.5%。統計開始以降最も低かった2002年の18.8%と比べると大きく上昇していますが、価格や安定供給などを理由に約6割は輸入に頼っているのが現状です。こうした中、阿久津さんは6年前から地元の職人と国産材を使ったハープの製作を行っています。2021年には、木材を生かした優れた建築や製品などを表彰するウッドデザイン賞の「ハートフルデザイン部門」で入賞しました。ハープには県内産の杉やヒノキ、そして栃木県の木であるとちの木などが使われていて、なかには伝統的な「日光彫」が施されているものもあります。

国産材、特に地元の木材にこだわることは、どのような意義があるのか。国立競技場などを設計した世界的な建築家で、日本ウッドデザイン協会の隈研吾会長に聞きました。

(日本ウッドデザイン協会 隈研吾会長)
「木は中に二酸化炭素を固定するため地球温暖化の防止になる。遠くから運ぶとトラックや船で二酸化炭素を出すため近くの木材ほど地球温暖化対策に良い。日本の建築に必要なことは地元の木を使うこと」

3月6日、阿久津さんの姿はさくら市にある廃校を利用した施設にありました。ここでは、国産の木材で作られた家具や雑貨などを販売していて、木工教室も開かれています。阿久津さんはハープをもっと身近に感じてもらい、裾野を広げたいと製作の手順を載せたマニュアルを作りました。マニュアル通り完成させることができるか、まずは自分で作ってみます。ハープに魅せられ、演奏者として、そして作り手としても。阿久津さんの挑戦は続きます。

(阿久津さん)
「地元の木材でハープを作って弾いてみる。そんな人を増やしたい。『森のハープ弾き』の仲間を栃木から全国へ広めていきたい」

ハープを通じて、地元の木材の素晴らしさを知ってもらうために、「森のハープ弾き」は今日も癒しの音を響かせます。