【特集:とちぎ昭和100年】地域の「知の拠点」宇都宮大学・池田学長に聞く
シリーズでお伝えしている昭和100年の特集、今回取り上げるのは宇都宮大学です。
戦後まもなくの昭和24年、国立学校設置法により栃木師範学校や宇都宮高等農林学校などを包括して新制大学として発足しました。
地域の「知の拠点」として企業との連携などにも力を入れる宇都宮大学、池田宰学長に話を聞きました。
宇都宮市峰町と陽東にキャンパスを持つ宇都宮大学。
歴史をさかのぼると1873年、明治6年4月、官立東京師範学校にならって、現在の栃木市に設立された類似師範学校から始まっています。
新制・宇都宮大学の初代学長から数えて22代目にあたる池田 宰学長は宇都宮大学の役割についてこう話します。
(池田 宰学長)
「明治・大正に発足した栃木師範学校と宇都宮高等農林学校が母体ですが、昭和24年に戦後の新制・宇都宮大学が発足。『歴史』と『伝統』に加え、地域社会に繋がりながら新たに活動する部分についても取り組んできました。『不易流行』という言葉がありますが、成長し続ける組織としてあり続けることが地域に資する大学としての責務だと思っています」
正門を入って右手奥にあるのが「峰ヶ丘講堂」です。
宇都宮大学の前身である宇都宮高等農林学校時代の建物で、1924年、大正13年の竣工から、去年、ちょうど100年を迎えました。
これまで入学式や大人数での講義などで使われてきて、2017年、平成29年に国の登録有形文化財に登録されました。
その美しい佇まいからテレビドラマや映画の撮影依頼が絶えず、去年放送されたNHKの連続テレビ小説「虎に翼」では主人公の寅子らが入学する大学の講堂になったほか、現在放送中の「あんぱん」でも主演の今田 美桜さんなどが訪れてロケが行われました。
伝統ある大学の一方で、昭和39年に工学部、平成に入ってからは国際学部と地域デザイン科学部、令和になってからはデータサイエンス経営学部を設置し時代に即した取り組みで注目を集めています。
(池田 宰学長)
「伝統はイノベーションの積み重ね。『工学部』は地元産業界からの強い要請で設置に至りました。その後のグローバル化の流れの中で『国際学部』を、地方創生にいち早く対応すべく『地域デザイン科学部』を設置、現在の多様性やハイブリッドな教育・研究に向けて、データドリブンな経営や経済に資する人材育成のため『データサイエンス経営学部』を設置と、常に社会や地域動向に即した組織改革を行っています」
去年、設置され最も新しいデータサイエンス経営学部では2年生になった1期生たちが時代の先端を行く学びを進めています。
(学生)
「出身は北海道札幌市です。データサイエンスに関する学部学科が増える中、宇都宮大学は文系でも学ぶことができる。将来はスポーツアナリストになりたいと思っていましたが、大学で様々な分野に触れて学ぶうち、今は政治家になりたいと考えるようになりました。データ分析などの知識を生かし、地域に貢献していきたいと思っています」
(学生)
「出身は宮城県仙台市。プログラミングなどの授業があり、実践的な授業を受けることができるのがいいなと思っています。とても楽しく学んでいます」
長い歴史の中で多様な卒業生を輩出してきた宇都宮大学…。
(池田 宰学長)
「日本のメインのコメの品種『コシヒカリ』を開発した石墨慶一郎氏や日本酒の久保田を手がけた嶋悌司氏、多摩動物公園や上野動物園の園長を務め、パンダの育成などでも有名な中川 志郎氏、その他政界や行政、企業の経営者など様々な卒業生が活躍しています。また最近は学生がベンチャーを起業する動きも増えていて、多様な人材を送り出していると考えている」
「一方、地域や企業・団体とこれまで様々な連携を進めています。自治体を対象として地域経営研究会や企業向けの取り組みなど本学の地域創生推進機構、社会共創促進センター、イノベーション支援センターなどが窓口となり、様々な連携を行っています」
東京都出身の池田学長は宇都宮大学がある栃木県のポテンシャルについてもこう評価します。
(池田 宰学長)
「宇都宮大学は6対4から7対3で、教育学部以外は県外からの受験生・入学生の割合が多い。ただ就職先を見ると、就職者の約3割は栃木県出身者ですが、それより多い人数が県内企業に就職している。結局、県外から宇都宮大学に来て学んで栃木に居ついて頂いているのは『栃木の実力』だと思っているんですよ。やっぱりこういうところで働きたいと思ってもらえる環境や企業・産業、自治体ということ。非常にいいロケーションなのだと思います」
また、宇都宮大学が2017年から始めた「3C基金」は地域の企業や組織、卒業生らに社会で活躍する人材育成のため寄附をお願いするものです。
これまでに2300を超える企業や個人が協力していて、地域との距離が近く、信頼ある大学だからこその取り組みといえます。
(池田 宰学長)
「昭和から既に百年、流れの中でこれまでの歴史に支えられ社会に寄り添ってきた部分と、新たな分野の研究、これが北関東・栃木県・宇都宮にある高等研究機関として地域と共にあることが大きいと思っています。地域の皆様にますます愛される大学でありたい」
宇都宮大学の歴史と池田学長のインタビューをご紹介しましたが、宇都宮大学・峰キャンパスの庭園、「フランス式庭園」は宇都宮大学の前身、宇都宮高等農林学校の初代校長、佐藤 義長が教育に役立つ庭園を造ろうと提案したもので、今はちょうど新緑が美しい季節です。
教職員らが設計を手掛け、1926年、大正15年に学生たちの奉仕活動によって完成し、来年ちょうど「100年」になります。
こちらも国の登録記念物で宇都宮大学のシンボルとして多くの市民に親しまれています。
池田学長は「学生や教員、職員、卒業生はもちろん自治体や企業、地域など多様なステークホルダーの期待に応えていくことが長い歴史を持つ宇都宮大学の役割」だと話しています。
多くの人たちから信頼され、期待され、愛される宇都宮大学として、次の50年、100年の活躍に期待したいですね。特集でした。
戦後まもなくの昭和24年、国立学校設置法により栃木師範学校や宇都宮高等農林学校などを包括して新制大学として発足しました。
地域の「知の拠点」として企業との連携などにも力を入れる宇都宮大学、池田宰学長に話を聞きました。
宇都宮市峰町と陽東にキャンパスを持つ宇都宮大学。
歴史をさかのぼると1873年、明治6年4月、官立東京師範学校にならって、現在の栃木市に設立された類似師範学校から始まっています。
新制・宇都宮大学の初代学長から数えて22代目にあたる池田 宰学長は宇都宮大学の役割についてこう話します。
(池田 宰学長)
「明治・大正に発足した栃木師範学校と宇都宮高等農林学校が母体ですが、昭和24年に戦後の新制・宇都宮大学が発足。『歴史』と『伝統』に加え、地域社会に繋がりながら新たに活動する部分についても取り組んできました。『不易流行』という言葉がありますが、成長し続ける組織としてあり続けることが地域に資する大学としての責務だと思っています」
正門を入って右手奥にあるのが「峰ヶ丘講堂」です。
宇都宮大学の前身である宇都宮高等農林学校時代の建物で、1924年、大正13年の竣工から、去年、ちょうど100年を迎えました。
これまで入学式や大人数での講義などで使われてきて、2017年、平成29年に国の登録有形文化財に登録されました。
その美しい佇まいからテレビドラマや映画の撮影依頼が絶えず、去年放送されたNHKの連続テレビ小説「虎に翼」では主人公の寅子らが入学する大学の講堂になったほか、現在放送中の「あんぱん」でも主演の今田 美桜さんなどが訪れてロケが行われました。
伝統ある大学の一方で、昭和39年に工学部、平成に入ってからは国際学部と地域デザイン科学部、令和になってからはデータサイエンス経営学部を設置し時代に即した取り組みで注目を集めています。
(池田 宰学長)
「伝統はイノベーションの積み重ね。『工学部』は地元産業界からの強い要請で設置に至りました。その後のグローバル化の流れの中で『国際学部』を、地方創生にいち早く対応すべく『地域デザイン科学部』を設置、現在の多様性やハイブリッドな教育・研究に向けて、データドリブンな経営や経済に資する人材育成のため『データサイエンス経営学部』を設置と、常に社会や地域動向に即した組織改革を行っています」
去年、設置され最も新しいデータサイエンス経営学部では2年生になった1期生たちが時代の先端を行く学びを進めています。
(学生)
「出身は北海道札幌市です。データサイエンスに関する学部学科が増える中、宇都宮大学は文系でも学ぶことができる。将来はスポーツアナリストになりたいと思っていましたが、大学で様々な分野に触れて学ぶうち、今は政治家になりたいと考えるようになりました。データ分析などの知識を生かし、地域に貢献していきたいと思っています」
(学生)
「出身は宮城県仙台市。プログラミングなどの授業があり、実践的な授業を受けることができるのがいいなと思っています。とても楽しく学んでいます」
長い歴史の中で多様な卒業生を輩出してきた宇都宮大学…。
(池田 宰学長)
「日本のメインのコメの品種『コシヒカリ』を開発した石墨慶一郎氏や日本酒の久保田を手がけた嶋悌司氏、多摩動物公園や上野動物園の園長を務め、パンダの育成などでも有名な中川 志郎氏、その他政界や行政、企業の経営者など様々な卒業生が活躍しています。また最近は学生がベンチャーを起業する動きも増えていて、多様な人材を送り出していると考えている」
「一方、地域や企業・団体とこれまで様々な連携を進めています。自治体を対象として地域経営研究会や企業向けの取り組みなど本学の地域創生推進機構、社会共創促進センター、イノベーション支援センターなどが窓口となり、様々な連携を行っています」
東京都出身の池田学長は宇都宮大学がある栃木県のポテンシャルについてもこう評価します。
(池田 宰学長)
「宇都宮大学は6対4から7対3で、教育学部以外は県外からの受験生・入学生の割合が多い。ただ就職先を見ると、就職者の約3割は栃木県出身者ですが、それより多い人数が県内企業に就職している。結局、県外から宇都宮大学に来て学んで栃木に居ついて頂いているのは『栃木の実力』だと思っているんですよ。やっぱりこういうところで働きたいと思ってもらえる環境や企業・産業、自治体ということ。非常にいいロケーションなのだと思います」
また、宇都宮大学が2017年から始めた「3C基金」は地域の企業や組織、卒業生らに社会で活躍する人材育成のため寄附をお願いするものです。
これまでに2300を超える企業や個人が協力していて、地域との距離が近く、信頼ある大学だからこその取り組みといえます。
(池田 宰学長)
「昭和から既に百年、流れの中でこれまでの歴史に支えられ社会に寄り添ってきた部分と、新たな分野の研究、これが北関東・栃木県・宇都宮にある高等研究機関として地域と共にあることが大きいと思っています。地域の皆様にますます愛される大学でありたい」
宇都宮大学の歴史と池田学長のインタビューをご紹介しましたが、宇都宮大学・峰キャンパスの庭園、「フランス式庭園」は宇都宮大学の前身、宇都宮高等農林学校の初代校長、佐藤 義長が教育に役立つ庭園を造ろうと提案したもので、今はちょうど新緑が美しい季節です。
教職員らが設計を手掛け、1926年、大正15年に学生たちの奉仕活動によって完成し、来年ちょうど「100年」になります。
こちらも国の登録記念物で宇都宮大学のシンボルとして多くの市民に親しまれています。
池田学長は「学生や教員、職員、卒業生はもちろん自治体や企業、地域など多様なステークホルダーの期待に応えていくことが長い歴史を持つ宇都宮大学の役割」だと話しています。
多くの人たちから信頼され、期待され、愛される宇都宮大学として、次の50年、100年の活躍に期待したいですね。特集でした。
