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「境目ない世界」目指して…刺し子や古布の作品が国内外で人気 TOMOScompanyの10年

障がいや病気などの理由で働くことが難しい人の就労を支援する「就労継続支援」サービス。宇都宮市で3つの事業所を運営する「TOMOScompany」が今年で創業10周年を迎えました。
モノを大切にする中で生まれた日本の文化、「刺し子」や古い布、ボロを新たな目線でブランド化し『福祉×クリエイティブ』、『境目のない世界』の実現を目指し、奮闘しています。

宇都宮市東宝木町のアトリエ。利用者たちが色とりどりの糸を一針一針、布にさしていきます。「TOMOScompany」は就労継続支援のA型とB型の事業所の運営をしながら、日本の伝統工芸である「SASHIKO」や100年以上前の古い布、「BORO」を軸にしたブランド、「TERAS」を展開しています。

代表の飯島亮さんが今から10年前、20代で立ち上げそのデザイン性やモノづくりの精神、障がいの有無ではなくともに働き、ともに暮らす境目のない世界観が評価され、アメリカや中国、オーストラリアなど国内外から出展やポップアップの引き合いが相次いでいます。
また、去年4月には東京・原宿の商業施設「ハラカド」に旗艦店がオープンしました。

(飯島亮さん)「この10年はやりたかった形が中々できずに苦しんだりもしたが、信念を曲げずにやってきたので、ようやく10年かけてスタートラインに立てたという感じです」

目指すのは「福祉とクリエイティブ」、そして「境目のない世界」を実現すること。

(商品企画・営業担当山中知博さん)「(特徴として)よく言われるのはユニークだということ。それに尽きるのかと思っている。ブランドを立ち上げた当初から、他にない価値を生み出すところを目指してきて、そこがちゃんと通じるようになってきたのかなと思う」

(相澤哲洋施設長)「僕達が何かを考えて解決策をいうのではなく、一緒に考えてそれぞれができることをやっていくことを大事にしています」

今年2月、JR宇都宮駅の駅ビルで展示販売会が開かれ、TOMOSの利用者たちも会場で刺し子の実演を披露しました。

(事業所を利用者する人は)「仲間ができたことが大きい。作業を通していろいろな人の考え方や状況を感じながら取り組んでいる。穏やかな気持ちで毎日を過ごすことができるようになった」「糸の縫い方や長さは自分の感覚でランダムに縫って『丸』になるように。売れた分、私の仕事が増えていくので、それは本当にうれしいのひと言につきます」

(スタッフ・岡田聡拓さん)「事業所に通うことによって利用者達は自信が身につく。自分が手がけた商品がお客様の手に渡って喜んでもらうことがモチベーションに繋がって、メンバーが居続ける場所になる。皆さんに注目を浴びていけるような存在になっていけるのではないかと思っています)

『働く喜び』。製品を販売した収益は利用者の就労や生活を後押しする源泉となります。その名のごとく、多くの人の人生を「照らし」、「灯す」ことが目標です。

8月にはアメリカの人気アーティストビリー・アイリッシュさんの日本ツアーの公式ガイドに持続可能な取り組みをするショップとして「TERASハラカド店」が掲載され、話題となりました。

…10月11日、「TOMOScompany」の創業10周年を記念したイベントが開かれました。交流のあるアーティストが全国から集まったほか、事業所の利用者も参加しました。

(飯島亮さん)「福祉ってどうしても一枚分厚い壁があるように感じる。一回触れてしまえば壁なんてすぐ取っ払われてしまうから、そういう機会を大切にしていきたいですよね。場所ベースでもモノベースでも文化ベースでも。いろんなものが作っていけたらなと思います」

(山中知博さん)「当初から応援してくれる人がたくさんいる。僕らができる恩返しは僕らがもっと成長していくこと。何か「きっかけ」を生み出すことができればそれが恩返しかと思っている」

就労継続支援A型事業所を巡っては全国に4400カ所あると言われていますが、TOMOSのように自社ブランドの製品で収益化しているのはわずか「1%未満」とされます。

この日、飯島さんは新たな挑戦を発表しました。業界では初めてとなるグループホームを併設したオープンファクトリーの設立です。

(飯島亮さん)「グループホームやろうって言っていた。この10年間。なんでやるか?と言ったらみんなご両親も悩みを抱えている。私が動けなくなったら、居なくなってしまったらどうしたらいいんだろう。その悩みを解決しようって10年前からずっと言っているんだけど、なかなか実現しなかった。」

場所は東武宇都宮駅にもほど近い、町の中心部、もみじ通りの一角。
来年末ごろの予定で、「業界初の魅せる拠点」を始動させます。

また併せて海外との取引の加速を目指して、アメリカなどでのポップアップの開催も目指します。

(飯島亮さん)「国内外問わず世界中にモノを出していって皆が自信をもってTOMOSにいることを誇りに思ってもらえるような会社作りをしていきたい。モノもグローバル化していくので、社内も海外の方を採用したり、組織自体もグローバル化していきたい。そこで『境目のない世界』を描けていけたらと思っています」

「福祉の現場を社会の新しい選択肢にする」「あらゆる『境界』をなくす」次の10年20年に向けて挑戦が続いていきます。
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