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小児がんと闘うマラソンランナー 走りたい…熱い思いを胸に

12月16日、宇都宮市で全国からおよそ5千人のランナーが参加したマラソン大会が開かれ、選手たちが秋晴れの下、宇都宮路を駆け抜けました。

その中に、特別な思いで大会に臨んだ小学生がいます。

「走りたい」
 
小児がんと闘いながらゴールを目指したランナーを追いました。

颯爽と走るこちらの男の子。芳賀町に住む小学6年生、本田 慶幸さんです。
慶幸さんは今、抗がん剤による治療を続け胸には薬を入れるためのカテーテルが入っています。

慶幸さんは、1年生の頃に走るのが好きになり、これまで数々のマラソン大会に出場してきました。去年11月、5年生の時に腕試しに上級生も出場する宇都宮マラソンに初めて挑みました。
およそ200人が出場した小学4年生から6年生が参加できる3キロのコースで結果は12位。残ったのは悔しさでした。

慶幸さん「自分はまだ全然遅い」

この大会をきっかけに、地元の陸上クラブに入り、それまで並行して練習していたサッカーは辞めて陸上競技だけに絞って打ち込んできましたが、今年6月、病魔が襲いました。
 
左顎にしこりができ、検査の結果、悪性リンパ腫と診断されました。

判明したのは、リベンジを誓った宇都宮マラソンのエントリーを終えた後のことでした。

慶幸さん「ショックだった」

10月中旬からは入院して剤の治療を開始。
副作用に苦しみながらも、慶幸さんを支えたのは、「走りたい」という強い気持ちでした。

病院の先生の後押しもあり、大会の1週間前に一時退院が許されました。

大会3日前のこの日、慶幸さんが訪れたのは、いつも練習で走っていた公園です。
シューズを履き替え、本番と同じ3キロに挑戦しました。

軽い準備運動を済ませ、すぐさま走り出した慶幸さん。母の唯さんは、大会出場に向けた息子の熱意を見守ってきました。

ブランクを感じさせない走りで3キロを走り切ることができました。

しかし、タイムを見て。

慶幸さん「タイムが落ちている」

宇都宮マラソン当日。
清々しい秋空のもと、ランナーたちが続々と集まってきました。
その中には、少し緊張気味の慶幸さんの姿。

走り出しは上々のようです。
沿道には、たくさんの人が応援に駆けつけ残り1キロほどの地点。
先頭のランナーが見えても慶幸さんの姿はありません。

慶幸さんは46位でゴールしました。
タイムは12分47秒。
ハンデを抱えながらの挑戦でしたが、練習で走った時より1分以上タイムを縮めることができました。

それでも、完走したことより結果へのこだわりが口をついて出ました。

慶幸さん「悔しかった」

一時退院はこの日まで。翌日からは再び治療が始まります。

「速くなりたい」という熱い思いを胸に、慶幸さんの挑戦は続きます。