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【特集】子どもの“第3の居場所”「フリースクール」 不登校の子どもに多様な学びの場を 

不登校の子どもたちに学びや体験の場を提供する民間の施設「フリースクール」。

県の教育委員会によりますと2023年度、県内の公立小中学校で不登校の状態にある子どもは5,805人と、前の年度より668人増えて、11年連続で過去最多を更新しました。

100人あたりの割合は4.14%となり、25人規模のクラスであれば1人は不登校の児童・生徒がいる計算になります。

こうした中、文部科学省は2019年に不登校の児童・生徒への支援に対する基本的な考え方を示しました。

それによりますと、「学校に登校するという結果のみを目標にするのではなく、社会的に自立することを目指す必要がある」と明示しています。

社会とつながる機会を提供しているフリースクールは、一般的な公教育と異なり、民間が独自の方針で運営しているため、施設によって活動の内容はさまざまです。

そんなフリースクールでどんなことが行われているのか施設や利用者の声をもとにその実態を取材しました。

宇都宮市砥上町にあるフリースクール「DreamTree」。

2023年4月にオープンしたこの施設には、現在小学1年生から中学3年生までのおよそ25人が通っています。

1週間に1回から5回の頻度で利用することができ、学校に再び通えるようになることや生活を立て直すことなど目指すゴールは人それぞれです。

この日の活動は、施設を飛び出して新年の初詣。護摩祈とうの炎とともに一年の決意を新たにしました。

不登校の子どもに学びや体験の場を提供するフリースクール。家庭以外の居場所を失っていることが多い不登校の子どもにとって、いわば家庭と学校以外の第3の居場所です。

指導や相談の体制といった一定の要件を満たし、適切な施設であると学校長が判断した場合は在籍する小中学校で出席の扱いにすることもできます。

また、自分のペースで学習ができることなどに加え、学校では経験できない社会体験や自然体験ができるのも大きなメリットです。

実際にフリースクールを利用する子どもたちは「自分と同じ環境の子たちが多かったりするから友達と話しやすい。学校とか行く時のために自信がちょっとついた」とか「家にいるだけだとなまっちゃったりするから、友達と会ったほうがいろいろな経験ができるからいい」などと話します。

保護者からは「いつもはお昼ぐらいまで寝てるのに早起きして、生きる希望とか楽しみを見つけてもらえれば」であったり「学校で学べないことをたくさんやっていただいてる。そういうところ生かして育ってほしいなと思う」といった声が聞かれました。

一方で課題もあります。そのひとつが「お金」の問題です。

フリースクールの運営にかかる費用は、主に利用者の家庭が負担します。

文部科学省が2015年に行った調査によりますと、利用料は全国平均で月額3万3000円です。

茨城県や福岡県など一部の自治体では運営費の補助が実施されていますが、申請のための要件があることでフリースクールの良さである多様な学びを妨げてしまうという指摘もあります。

もう1つの課題は、フリースクールを作るうえでの資格や運営のための基準がないということです。

独自の方針によって運営されるため、「学習」を重視するものや「体験」を重視するもの、それに「居場所」を重視するものなど、形はさまざま。

そのためフリースクールによっては教育の質に問題がある場合もあります。

全ての子どもたちがよりよく生きられる社会へ、フリースクールの今後の在り方が問われます。
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