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県内ニュース

東日本大震災から14年… 原発事故での避難者 ふるさと・双葉町への思い語る

県内では福島県などの被災地から1,100人余りの避難者が今もふるさとを離れ生活を余儀なくされています。現在も立ち入りが厳しく制限されている福島県双葉町を離れ今も県内で避難生活を送る方々に胸のうちをうかがいました。

福島県双葉町。東日本大震災に伴う、東京電力福島第1原子力発電所の事故で被害を受け、JR双葉駅周辺などの特定復興再生拠点区域を除いた大部分がいまだに帰還困難区域となっています。

双葉町から小山市に避難してきた北村雅さんです。

90年以上前の祖父の代から続くこの場所で暮らしてきましたが、原発事故で避難を余儀なくされました。

(北村さん)
「常磐線がうるさかったが、慣れれば、電車が近くを通るのもよかった」

常磐線は2020年に全線で運転を再開し震災前の姿に戻ったもののここの景色は復興とは程遠いまま。

(北村さん)
「自分含め、別の場所に住んでいても、住民票は双葉のままの人が多い。その辺の割り切れなさはある」

もう戻ることはないとわかっていても、故郷への思いを自分自身でも簡単には言葉にできません。

(北村さん)
「なぜ帰れないのかというと原発事故があったから。原発と一緒に生きてきたバックボーンがあるから割り切れない」

北村さんは双葉から避難した自分だからこそ、その思いを多くの人に伝えたいといいます。去年11月に宇都宮市のボランティア団体「ともしびプロジェクト」が双葉町と浪江町をめぐり震災の教訓を伝えるバスツアーに参加し、積極的に参加者たちと意見を交わしていました。

(北村さん)
「本当は実際に双葉町を見るのが一番。誰もが経験できることではないから、自分が伝えていきたい」

双葉町には東日本大震災や原子力災害の恐ろしさや教訓を後世に伝える伝承館があります。2月22日は、この施設にお囃子の音色が響きました。双葉郡周辺の地域の民俗芸能を一度に見ることができるイベントです。

その中の一つで、約700年続く双葉町の民俗芸能「前沢の女宝財踊り」の踊り手、半谷八重子さんです。宇都宮市に避難してからも地元のイベントなどで今でも踊りを披露し続けています。

この踊りは故郷とのつながりを感じる要素の一つだと話します。

(半谷さん)
「地元で踊るのは感無量。踊りは二の次、仲間に会いに来ている」

そしてもう一つ、この双葉と半谷さんを繋げているものが、震災の前まで40年ほど住んでいた自宅です。

半谷さんは宇都宮に移り住んだあともこの家で掃除を続け、大切にしていました。

しかし、人が住んでいない家は国の事業で取り壊すことになっていて、半谷さんの家も今月ついに取り壊しが始まりました。

(半谷さん)
「家はなくなっても自分の土地。これからも様子を見たくなると思う」

自宅がなくなったとしても、生まれ育った故郷が双葉町であることには変わりありません。

(半谷さん)
「『ふるさとは遠きにありて思うもの』言葉ではわかっていても、離れてみて実感する」

北村さんは今月8日から13日まで、小山市の市民ギャラリー「まち美」で原発事故と防災をテーマに展示イベントを開いていて、12日、13日も被災者の講話などの開催が予定されています。